修繕費を収支に入れて考える

価格の安い物件は、利回りが高く見えます。ただ、安い理由が建物や設備の古さにある場合、購入後の修繕費が収支を大きく左右します。修繕は「起きたら払う」ものではなく、最初から見込んでおくものです。

安い物件ほど修繕費が効いてくる

給湯器やエアコンの交換費用は、物件の価格が300万円でも3,000万円でも大きくは変わりません。そのため、価格と家賃が低い物件ほど、1回の修繕が収支に与える影響は大きくなります。少額の不動産投資で気をつけたいのは、購入価格そのものより、購入後にかかる修繕費です。

設備交換1回で、家賃の何割が消えるか

次の表は、考え方を示すための例です。年間の家賃が36万円(月3万円)の物件で、設備の交換が1回あった場合の割合を示しています。

出来事(例)費用の目安(例)年間家賃36万円に対する割合
給湯器の交換150,000 円約 42%
給湯器とエアコンの交換が同じ年に重なる250,000 円約 69%

管理費や固定資産税などの毎年の費用も差し引くと、修繕が重なった年は赤字になることもあります。実際の費用は設備や地域によって変わるため、見積もりで確かめるのが確実です。

安い理由を確かめる

価格が安い物件には、たいてい理由があります。修繕の面では、次のような理由が多く見られます。

  • 築年数が古く、設備も古いまま使われている
  • 修繕の履歴が残っていない、または分からない
  • 給湯器・エアコン・配管・外壁などの状態が確認されていない

入居者がいる物件(オーナーチェンジ)は、室内を見られないことが多く、退去したあとに大きな修繕が必要だと分かることもあります。入居中でも、設備の年式と修繕の履歴は資料や管理会社への質問で確かめておきます。

購入前に確認したい設備と履歴

確認する項目見るポイント
給湯器製造年・交換した時期
エアコン台数・年式・設備として貸しているか
水回りキッチン・浴室・トイレの状態、交換の履歴
雨漏り・漏水過去にあったか、どう直したか
配管建物の年代と、更新工事の有無
外壁・屋根(建物全体)大規模修繕の実施時期と、次の予定
修繕の履歴室内と建物全体の両方。記録が残っているか

修繕積立金が少ない物件

区分マンションでは、建物全体の修繕は管理組合の修繕積立金でまかないます。積立金が月数千円以下、あるいは0円の物件は、毎月の支出が軽く見えて利回りも高くなります。その反面、将来の大規模修繕で一時金を求められたり、修繕そのものが先送りされたりする可能性があります。当社も修繕積立金が0円の物件を保有しており、この点は継続して確認しています。

購入前に、管理組合の修繕計画と積立金の残高、過去に一時金を集めたことがあるかを確認しておくと安心です。

修繕費を最初から見込む

修繕は「起きたら払う」ものではなく、いつか必ず起きるものとして収支に入れておきます。たとえば、毎年の家賃の一定割合を修繕のために取っておく前提で計算すると、修繕が重なった年でも慌てずに済みます。表面利回りではなく、修繕費を差し引いたあとの数字で物件を比べるのが基本です。

検討中の物件の修繕リスクを資料から整理したい場合は、物件資料レビューをご利用ください。利回りの考え方は表面利回りと実質利回りの違いで詳しく説明しています。

当社の運用での経験も交えた元の記事は、noteで公開しています:安い物件ほど怖い。少額不動産投資で修繕費が利益を消す理由 ↗

この記事は、不動産運用に関する一般的な情報の整理を目的としたもので、特定の物件の購入をすすめるものではありません。税務・法務・融資の判断は、専門家にご相談ください。